"蓄電池が政府を追い抜く:2025年に108GW増設、それでも1500GWの公約には遠く及ばず"
エネルギー転換の中で、異例のことが起きている。ハードウェアの進歩が、それを計画すべき政府の歩みを上回っているのだ。シンクタンク Ember が 2026 年 10 月に発表した新しい報告によると、世界は 2025 年に過去最高となる 118 ギガワットのエネルギー貯蔵設備を新設し、そのうち 108GW が蓄電池だった。前年比 40% の増加で、貯蔵設備の累計容量は 430GW に達した。注目すべきは数字の大きさだけではなく、その上昇の速さである。蓄電池の年間新設量は 2021 年の 9.5GW から 2025 年には 108GW へ、5 年で 17 倍になった。太陽光発電の累計容量が 10GW から 100GW に達するのに 9 年かかったのに対し、蓄電池は同じような距離を約 4 年で駆け抜けた。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 蓄電池の新設量、2021 年 | 9.5GW |
| 蓄電池の新設量、2025 年 | 108GW |
| 貯蔵設備の新設総量、2025 年 | 118GW(前年比 40% 増) |
| 貯蔵設備の累計容量、2025 年末 | 430GW |
| 各国の 2030 年貯蔵目標の合計 | 822GW |
| COP29 の 2030 年に向けた世界の公約 | 1500GW |
| 2025 年の新設量に占める割合:中国 / 米国 | 54% / 16% |
これが単なる一つの技術の好調な年ではないのは、建設のペースと約束の間に開いた溝を暴いているからだ。Ember が集計した各国の 2030 年貯蔵目標は合計 822GW で、COP29 前の 284GW からほぼ 3 倍になったが、それでも COP29 で 74 か国が支持した 1500GW の公約を 45% 下回る。Ember の計算は率直だ。2025 年のペースを 2030 年まで毎年維持すれば、累計容量は約 1020GW に達し、各国の現行目標は楽に上回るが、公約にはなお大きく届かない。つまり各国は目標を大幅に引き上げたのに、なお設置の現場に追い抜かれており、国際公約そのものはさらなる飛躍がなければ手の届かないままなのだ。
この急増の原動力は謎ではなく、補助金だけの話でもない。Ember によると、過去 10 年で蓄電池システムのコストは年平均およそ 20% 下がっており、貯蔵は電力網の贅沢品から、太陽光や風力を日没後も使えるようにする実用的な手段へと変わった。ここに太陽光との比較の意味がある。太陽光の物語はまずパネル価格の下落であり、次にその周りに築かれたすべてのものだった。貯蔵は今まさに同じ第二幕を迎えており、ボトルネックは装置そのものから、系統接続や市場、ルールへと移っている。
楽観を戒める、誠実な注意点が二つある。第一は集中度だ。2025 年の新設量の 54% を中国、16% を米国が占めており、世界の総量は二つの市場とその政策に大きく依存している。第二は、目標を上回る設置ペースが、設置量が十分であることと同義ではないことだ。2025 年のペースを維持しても、世界は 1500GW の公約に届かない。そして気候の計算が本当に求めているのは目標ではなく公約の方なのだ。私が思うに、Ember が記録しているのは、技術の曲線が政治の曲線よりも速く曲がった転換であり、それが両方向で同時に起きているということだ。
私の予測:2026 年の世界の蓄電池新設量は少なくとも 130GW に達する。確信度は 62%。根拠は勢い、昨年の 40% 成長、コストの低下、そして二大市場における深い案件パイプラインだ。反対の根拠は、ここまで急な成長率が長続きすることはめったになく、どちらかの主要市場での政策や供給のショックが、ほぼ即座に世界の総量に表れることである。